4.Let's speak English as NIPPONJIN !


日本語発音で堂々と話そう!


1. Do you speak English ?

 様々な国の人が一堂に会したときには、英語の便利さと楽しさがとてもよくわかるものです。 
私もこれまで国内で、そして海外でそのことをいつも感じてきました。またそのような場面では、
それぞれの母国語の特徴が出て面白いものです。たとえば私はこんな経験をしました。
 
 私にとって初めての海外旅行だった北米自転車ツーリングでの出来事です。この時はソルト 
レイクシティーを出発してロッキー山脈を越え、デンバーまで走ったのですが(トップページの写
真はそのときのものです)、ある日夕食をとるため、私は小さな町の中華料理店にはいりまし 
た。中国人のウエイターがやってきて「中国語で」私に何かを尋ねました。そのウエイターは私
のことを中国人だと思って中国語で話しかけたんだろうと思い、私は
"Do you speak English ?"
と聞き返しました。その瞬間、周囲にいた他の客が思わず、という感じで笑い出してしまったの 
です。ウエイターも困惑した表情でもう一度私に何か言いました。そして、その言葉をよく聴い 
てみると、なんと「英語で」
"May I help you?"
と言っていたのでした。

 彼は最初から英語を話していたのですが、中国語訛りが強く私には「完璧な中国語」に聞こ 
えてしまったのでした。そして、今度は私が日本語訛りの英語で
"Do you speak English ?"
とやったものだから、周囲にいた人達が大爆笑になってしまったのは無理もありません。


2.お国訛り

 その後もこの北米ツーリングで、あるいはこの翌年のヨーロッパツーリングで、様々な国の人
達と英語で話す機会がありました。多国籍の人が集まると共通語は必ず英語になるのです 
が、そのような場面で実感したのは、英語にはそれぞれの国の訛りがあるということです。

 たとえば韓国人の多くは " think" を、(カタカナで書くと)「ティンク」と発音します。お 
そらく母国語にはないthの音を韓国語の別の音で代用しているのでしょう。同様に我々日本人
も"think" を、よく「シンク または スィンク」と発音しますが、これも逆に韓国人には自分達が
イメージ する"I think"の音とはずいぶん違って聞こえているはずです。また、中国人の英語も
やはり全体に中国語っぽい英語であることが多く、東洋人同士が話していると、顔では区別が
つかなくても、その英語を聞いているとどこの国の人かだいたい分かってしまいます。
 フランス人やドイツ人の場合は顔にごまかされてしまってか私には区別がつかないのです 
が、アメリカ人の友人に聞いてみたらやはり
「どこの国の人かすぐにわかるよ。」
ということでした。

 英語のネイティブスピーカーでさえこれは同じです。たとえばイギリス人は"I can"を「アイ カ 
ン」です。また、以前何度か参加したことのある英会話サークルで、オーストラリア訛りの強い 
男性が講師に来ていたことがありました。その男性は日本人が習っているのはアメリカ英語で 
あるということを知っていましたが
「自分の英語はオーストラリア英語である。」
と一言断った上で、いっさいその発音を変えようとはしませんでした。私はその姿勢に
「英語にはいろんな英語があるんだ。」
という明確な主張を感じました。最初は "a" が「アイ」になり、たとえば "Sunday"が
「サンダイ」になるのですごく戸惑いましたが、1時間もすれば慣れてしまい全然抵抗が無くなり 
ました。
オーストラリアやニュージーランドに旅行した時も全く同じで、最初は戸惑うものの、すぐに慣れ
てしまいました。

 そう、英語にもお国訛りがあるのです。そしてこのような実体験から私は
「日本人は日本語訛りの英語で堂々としゃべればいいじゃないか。」
と考えるようになりました。


3.Let's speak English as NIPPONJIN !

 英語を「英米人の言葉」として考えた場合は、ネイティブスピーカーの発音どおりでないと「そ 
れは間違い」ということになるのかもしれません。また、基準に近ければ近いほど、どこの国の 
人にも理解してもらいやすいですから、基準に近づける努力は必要だし有用であることは疑い 
ありません。
私自身の経験でも、はじめての海外旅行の時、日本人には難しいといわれるBと V、RとLを含
む単語の発音は、やはりなかなか理解してもらえませんでした。たとえばアイスク リーム店で"
VANILLA"を注文したら"BANANA"がでてきたりしました。したがって、スピーキングについて
は、我々日本人にはこれらの発音のトレーニングは必要でしょう。

 しかし、私達が必要としているのは多くの場合、たとえば海外旅行であれ、大学で論文を読 
むときであれ、「英米人の言葉」としての英語というより、むしろ「国際共通語」としての英語の 
はずです。どのような言語であれ、使用されている範囲が広がれば「方言」も多くでてくるのは 
むしろ自然なことです。英語のネイティブスピーカーでさえ訛りがあるのだから、決して「発音記
号通りの発音でないとダメ」ということにはならないと思います。
 
  日本人の我々は、
「基準に近づける努力はしつつ、日本語訛りで堂々と英語を話せばいい。」
と私は思います。少しくらい訛っていたって、英語とはまったく異なった体系の言語を母国語と 
して持つ我々が、英語でコミュニケーションすることができれば、それだけですごいことではな 
いですか。それに、実際の会話で最も重要なのは、日本語での会話であれ英語での会話であ 
れ、アナウンサー並みの発音ではなく、その中身なんですから。




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